「小樽・赤岩 クライミングガイド」P.85 “窓岩リッジ”7P(ピッチ)目の解説文は

    『アゴの下から右へ回り込み、窓の中に向けて、高度感抜群のトラバースをする。
    奇妙な模様の岩でできた窓の中に終了点がある。』


と書かれている。

12日(日曜)、空気の澄んだ小春日和、N田氏を誘って赤岩に行く。珍しくN田氏から“窓岩の偵察をしたい”と積極的リクエストあり。終了点からルートを確認しながら懸垂下降で降りたいという。ズッシーさんもいないし下降ルートのズレや、人工A2ピッチもあり 万が一身動きの取れなくなることもないとは言えない、最初から偵察は最終の6.7ピッチだけ、5P目から下へは降りないことにしようと決めて窓岩に向かう。遊歩道から東の大壁へのアプローチを慎重に下る。何回か下ったアプローチだが今までは窓岩への踏み跡を意識したことはなかったが、地形から簡単に窓岩への分岐が解った。窓岩へのアプローチは左はガレの絶壁、右は木が密生しているので錯覚するが、これまた急な斜面に挟まれたヤセ尾根でつながっているのだが緩くても下りは下り、ちょっとばかり気持ちが悪く安全を期してロープをフィックスする。“窓”に入る寸前N田氏の足元の岩が崩れて肝を冷やす。窓岩のなかにはがっちりしたケミカルアンカー2個が固定されていた。
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 アプローチもフィックス     外枠?はこんな感じ    アプローチのフィックスⅱ

窓から下をのぞくと2mの急な一枚岩の先は はるか下に紅葉した樹木と海岸線の先に真っ青な海しか見えなかった。
最終7Pは14mのほぼ真横に近いようなトラバースルートなので懸垂では降りられず、N田氏がクライムダウすることに。ダウンなので登りとは反対だから間違ってロープを引っ張らないでネ!と冗談とも真面目ともつかない言葉を残しN田氏は窓の外へと下っていく。
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窓の中から何とか取りたかったが、身動きとりにくく精一杯の撮影

一歩外に出た途端、「高度感すごいわっ!」の声が、そしてすぐに姿は“窓枠”の向こうに消えた。「ロープをだして!」「張って!」を繰り返しながらロープは少しづつ伸びて行く、「すごいわっ!」又声が聞こえる。下りながらのトラバースなのでホールしたら振り子の要領で思い切り振られて岩に激突するので確保する方も緊張感いっぱいだ。途中残置があるのか気になったがクライムダウンに集中しているので余計なことは聴かずに我慢する。「気休めだけど!」声が聞こえる。(気休めだってあれば少しは楽になる。) 「出して」「張って」の声が通りにくくなってきたので、出せはホイッスル一回、張れは二回と大声で指示。そのあと、頻繁に一回鳴ったり、二回鳴ったりを繰り返す。ややしてホイッスルが2回どころか何回も吹かれた・・・(6P終了点に着いたなぁ)。しばらくして窓から顔を出せと怒鳴り声が。思い切り体を乗り出すと案外近くに得意満面のN田氏の顔が、嬉しそうにここまで来いと言う。行きたくない、ここで確保するので帰って来いと言うと、いいから来いと強引だ。仕方ない、行くかぁ・・・意を決してクライミングシューズに履き替える。慎重に2mの一枚岩を下って “窓”の外にでて、小さな岩のとんがりに足をそっと置く・・・ナァなんじゃこりゃ~・・・スッ、スゴイ高度感!凄過ぎ!!足元には遥か下に紅葉の木々しか、岩のかけらもな~い・・・全く見えないっ!下は・・・見なかったことにしようっ!N田氏は「ガバばっかり」と言っていたけど、確かにホールドはあるが、第二関節までのフィンガーとか・・・これってオイラにはガバじゃな~い(涙)!頭を押さえられながらも、ホールドを探しスタンスを探し少しづつトラバース気味に下る。岩は泡状で痛いが摩擦は効く、ロープの流れが極端に悪く腰をひねってロープを引っ張れとN田氏から声が飛ぶ、「よしよしイイぞっ!」なぜか嬉しそうなN田氏の励ましの声。そしてオイラの動きが止まった。
   「ここ行くの?」
   「そう!」
   「どうやって?・・・降りるの?」
   「そうっ?!」
   「下まで?」
   「そうっ!!」
   「だってスタンスないじゃん?!」
   「あれ?途中までだっけなぁ~??」
   「俺、いいわぁ!・・・ここ行きたくない・・・戻るわっ!」
   「ダメッ!大丈夫難しくないよっ!!!」
そこはV字状に切れていてバンドがつながっていない状態、もちろんガイド本に書いてある通りの高度感、ここは正直行きたくないと思った。短いやり取りをしながらも目の前の岩を探る、外に傾きを増す包丁のような薄ペラな岩を靴の横幅2足分外に乗り膝を折れば、左足はV字の反対側の岩に届いてスメアーを効かせられる。トラバースルートにハーケンはないが、岩の出っ張りにスリングでランニングは取っているし、よく見れば何とかなりそう・・・。外傾斜の薄っぺら岩のできるだけ外側に乗り、左足を広げるとスメアーばっちり!ガバを掴んで超えることができた。「よしよし、いいよいいよ!」N田氏の励ましの声。しかしN田氏の度胸って一体どうなっているのだろうか?!脱帽の7Pのトラバースの巻でした。
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   窓から真下を覘く     戻りなので余裕のN田氏:海に“窓”の影が小さく見えます

渡り切った6P目の終了点は広いテラスで、6Pのルートは岩と言うよりは草つきの緩い斜面、7Pとは天と地ほどの違いだった。7Pのロープはフィックスしたままで、もう一本のロープで懸垂で降りる。ここは問題なし。5Pの終了点も広くて安定していたがそこから下を覘くが、垂直に近い斜度のあるフェースがルートとなっているようであった。懸垂で降りたら上で確保するけどと言ったが、N田氏はこのルートの表示は27mでどうやらロープの長さが足りそうもないので、これ以上は降りないという。次回もしチャンスがあれば、もう少し大人数で、万が一に備えてロープをもっと多く持って来ようということで、ここは素直に登り返す。6Pは草つき状で斜度もなく3級表示だが、2級に近いただ、テラスへの出口の岩が、土に埋もれているようで安定性にかけ岩が抜けるのではと気持ち悪かった。
最終7Pはルートも解っているし何と言っても下るよりは登る方が楽チン、V字も楽に超えすんなり“窓”に戻る。7Pは3級表示だが、こんなにビビった3級は経験したことがない、4級表示にしても、文句を言う人は少ないのでは・・・。兎に角無事に戻れて、ヨカッタし・・・終わってみれば面白かった!
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西壁方面・大壁の頭が下に      不動岩稜

慎重を期して戻りもフィックスを取り、大壁の頭へのアプローチに戻り、喘ぎ喘ぎ散策路に上がる。h東のチムニー岩の上でゆっくりと昼食を取る、久しぶりに馬の背でもと思ったが、二人とも食べる方は勿論登る方も“お腹いっぱい”、帰るわけにはいかないとチムニー岩のカンテルートとノーマルルートでお茶を濁してご機嫌で峠まで戻る。一日中快晴で終わってみれば爽快!N田さんありがとサン!
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2014.10.13 / Top↑
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