【写真提供・長澤君、村山君】
9日朝、浅い眠りの中、腕時計の目覚音で3時半起床、外はまだ暗い。本州の3000mに近い標高の気温の感覚がわからず、予想よりズーッと気温は低い。昨日の林道歩きも殆ど喉の渇きを感じなかったので、水とポカリを夫々500mlに減らす。迷ったが、ハーケン&バイルにキャメロットは持参する。5時10分出発。気持ちは昨日と変わらず,インターネットで調べた小同心クラックルートに対して不思議なほど何の不安もない。

      ※ ルート詳細 : 複数のインターネット情報より作成
1P(Ⅳ- 40m)  2Pの前半(Ⅳ- 20m)後半(Ⅳ 15m)  3P(Ⅲ 10m) 4P(Ⅱ・コンティニアス) 5P(Ⅲ+30m)


ベースキャンプ(5:10)→(6:00)大同心基部(6:15)→(7:05)小同心テラス(7:25)→1Pラスト(8:15)→2P(9:10)→3P(9:35)→小同心の頭(9:50)→(10:25)横岳頂上→硫黄岳(11:45)→(12:50)天場

小屋の裏から硫黄岳の標識に導かれ樹林帯に入り、5分も歩かないうちに硫黄岳へのルートと別れ大同心沢に入り、これまたすぐに、ルンゼから分かれて大同心稜に取り付く。木の根を掴んでの一気一気の急登に息が上がる。どんどん高度を稼ぐので、未だ着かないかとかえって気がせく。右手の樹林越しに聳える阿弥陀岳(2807m)の頂上がどんどんと近づく。
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    大同心稜の急登       樹林越しの阿弥陀岳      目の前に聳える大同心

長く感じたが、実際には1時間弱で大同心基部に到着。ハーネスを付けながら、小同心への踏み後を探るが、ルンゼに降りる踏み後が急すぎてどうも様子が変。二人に一段上のテラスに上って貰うと、こちらが正解。細い踏み跡が大同心ルンゼの源頭に向かって付いており慎重に降りる。下調べでは、この大同心から小同心へのトラバースが判りにくいようで、ガスで見通しが利かず行き詰まり 懸垂で降りた事例が2件も報告されており、実は、実際のクライミングよりも気になっていたところだ。時折消える踏み跡に、滑落に細心の注意をはらいながら手分けしてトラバースルートを探したが、このトラバースは長年の経験がものをいったと3人自負しあった。
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このトラバースが核心かも      小同心に向かって        取り付き点に到着

小同心の取り付きの広いテラスでギアーを着装する。快晴無風、気温も丁度よく、これ以上ないという登攀日和だ。
ダブルロープ使用でラストは村山君。環境からこの2年間、殆ど岩に触れていない長澤君の状況次第だが、リードは長澤プロとツルベで交代しながら登る予定だ。
3名のザイルシステムをあれこれ考え、沢屋村山とのロープはリードのハーネスには安環でつなぎ、リードを交代する時に(村山君の)セルフを確実に取った後素早く付け替えるという方法を考え付いたのだが・・・。リードの墜落時に問題があり、ロープの付け替え時に落とさないことが絶対だが、どのテラスも広そうなのでこの方法を採用。というか、外に思いつかず。メインロープを途中で外すという行為が 大いに引っかるのだが・・・。外に方法があるのか、是非確認してみたい。

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     取り付き点で         大キレット遠望

後続パーティーがいないことを確認、出来るだけピッチを細かく切るつもりと断りを入れる。時間に余裕があり、少ないピッチ数を増やすことによって何かと練習にもなるし、何よりも初見のルートを重いザイルを引き摺り上げるのを避けたかった。プロには久しぶりの岩の感触を確かめてもらう為に、一方的に最初のピッチは自分がリードするとことにした。

「1P目:15mのフェースを左上、クラックに入って20m直上!!」情報どおりのルートが目の前に立ちはだかる。岩質は小樽・赤岩とは明らかに異質だ。“行きマ~ス!!”大声で叫んでいよいよ本チャンが始まった。
初めて触れる大同心の岩、丸みを帯びて、手に優しい。やはり赤岩では経験したことのない感触、摩擦は効く。15mフェースにプロテクションは無いはずなのでシュリンゲでランニングを取る岩を決め一歩を踏み出す。何手か上ると無いのは解かっているが目はハーケンを探している、やっぱり無い。改めて最初から決めていた岩をめざす。予想通り裏に引っ掛かりがあり良い岩だ。一つ目のランニングを取り深呼吸。再びスタンスを意識して登る。ホールドはどれもガバで心強い。
出だし
     いよいよスタート

豊富なホールド&スタンスに、気持ちは落ち着いているなぁと意識していたが、クラックの入り口に着いて、クラックに入るのだったと気付く、スタンスを意識し過ぎて全体を見渡すのが駆けていた。やはり気持ちが高ぶって居たのだろうかぁ?
クラックに入る時にロープが重く感じ、ロープ頂戴~イ!と叫ぶ。クラックに入ってすぐに広いテラスがありがっちりしたペツレが二つ、迷わずピッチを切る。

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   ラストの村山君の1P       テラスに上がる      アンダーで回り込みクラックへ
2P目(通常の1P後半)長澤プロが、リードはもう少し様子見してからというので、連続リードで登る。左手アンダーで回りこんでチムニーへ簡単に入る。スタンスを見ることを注意しながら登る。ホールドスタンスが豊富で気持ちの良いチムニー登りだ。プロテクションが殆ど無いとの事だったが、途中欲しいところにハーケンがあった。ただ半分しか入っていなかったりとどれも頼りなげ、それでもロープをかけると気持ちは落ち着く。20mで正規の1P目のテラスへ、広く安定したテラスで一人用のテントだって張れるほどだ。下のテラスと同じように、しっかりしたぺツレが2個。ここで恥ずかしながらとんでもない失敗に気付く。下のテラスに確保のシステムをすっかり置いて来てしまったのだ。初めての本チャンに先のルートばかり気にしていたのだろうか。こんなミスを犯すのは何より経験が足りない証拠、軽い自己嫌悪に。ここはルベルソでビレー、プロが難なくテラスに上がって来たので、沢屋のビレーを頼み、シューズを緩めて一休み。“忘れ物”の話で、登攀隊長として、全く持って面目丸つぶれ。
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   上部を見上げると          2P目を登る村山君

3P目(20m)もリード、テラスを右に回りこんでチムニーに入る。回り込みが大きいので念のため岩角にスリングを巻いてチムニーに入いる。このチムニーは幅が少し広めで、手足を真横に広げ奥に入り過ぎないように注意しながら登る。相変わらずガバホールドだがたまに岩が動いて気持ち悪い。落石に注意してと下にコール。このチムニーの斜度はきつく殆ど垂直方向に立っている。股の下には深い空間が・・・、それなりの高度感。このピッチも要所にはハーケンがあったが、半分しか入って居なかったり、逆にリスに深く打ち込まれ過ぎてカラビナが掛けられずに細引きを通したりとナカナカ変化のある楽しいピッチだった。
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 3P目のチムニーを長澤君のビレーで抜ける出る村山君

ここでルートは二分される。右は再びチムニーへ、斜度はそれ程でもないがプロテクチョンも無い。左は被った岩を体を空間に出すようにしてハングを乗り越えるがホールドスタンスは豊富、事前情報だ。ここが核心で、グレードはⅣの表示。
長澤プロにビレーを任せて左ルートを探る。右のチムニーへの入り口はビレイヤーで見えない。気分的には右のチムニーだが、左のハングも越えるとすぐに斜度は落ちている。“ホールドは豊富”を信じて左を選択。体が振られない様に横からもランニングを取り、一歩上って右ホールドを探る。ガバ・・あった。続いて左も、手が3本あっても足りるほどガバだらけ。しっかり両手を伸ばして一気に越える。・・・ハングというほどでは無く、赤岩の四段テラス(Ⅲ+)の方がズッと緊張する。
核心
       核心

後は斜度が落ちてプロテクションを探すまでも無くロープを延ばすと、キレット状の広いテラスに。長澤、村山君と次々にテラスに。ここで待望の横岳山頂がどっしりと姿あらわし山頂のに立つ登山者のシルエットが見える。振り返るといつの間にか雲が湧いてきていた。横岳の頂上まで長澤君にリードを頼んで、景色を堪能することに。

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    行者小屋が雲間に     横岳山頂には登山者が

5P目(Ⅲ・15m)小同心の頭に向かって長澤プロ初リード。途中立派過ぎるぺツレにランニングを取り、ほどなくビレー解除のコール。沢や、私と続いて頭に到着。今まで立ちはだかり続けた目の前の壁が消え、痩せた吊尾根をはさんでどっしりと横岳が聳え立っている。一度ロープをたたんで、コンテニアスで横岳の西壁に向かう。
一見どこでも登れそうな西壁を前に、ハーケンを探す。

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      5P目の登り      目の高さには稜線の登山者が 最終ピッチを登る村山君

プロの連続リードでやや斜度の落ちた最後のワンピッチ(Ⅲ30m)の登攀を楽しむ。沢屋村山君に続いてあっけなく横岳山頂に到着。次々に握手で完登を祝福。
思っていたよりズッと易しくてチョッと拍子抜けではあったが、アプローチのアルバイトと2829mの山頂が最終ピッチというクライムは、ゲレンデでは味わえない満足感が得られた。何よりも40数年来の岳友とザイルを組めたことが楽しかった

登頂
      山頂                        【Ⅲに続く】




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2011.08.12 / Top↑
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